Column

ハマナスをもっと身近に。想いを込めたおやつ

ハマナスをもっと身近に。想いを込めたおやつ

北海道の大地に初夏の訪れを告げる花、ハマナス。潮風に揺れながら、可憐で鮮やかな花を咲かせます。その花びらにはビタミンCやポリフェノールが豊富に含まれ、美容や健康にもうれしい力を秘めています。 私たちは、このハマナスをもっと身近に、もっと楽しく味わっていただきたい。「花を食べられる」ワクワクを届けたい──その気持ちから、このお菓子の企画は始まりました。 その想いに共鳴し、かたちにしてくださった、神戸「L’epice(レピス)」の大久保たえさん長崎から京都・大阪、フランスを経て神戸へ。レストランやカフェなど、さまざまな食の現場で経験を重ね、いまは「ハーブ」をテーマにしたお店を営みながら、季節の素材をいかしたお菓子や料理をいろいろと手掛けています。 こうして生まれたのが、ROSE BLOOM SAND北海道産の素材で焼き上げたサクサクのクッキーに、甘酸っぱいハマナスジャムを丁寧にサンドしました。ひとくちで、花の華やかさとやさしい酸味、バターの香りが広がり、心がほっとするような時間を運んでくれます。 12個入り・専用缶ケース付き価格:2,160円(税込)📦 11月1日より順次発送スタート※数量限定のため、ご予約での確保をおすすめします。 このお菓子をきっかけに、たくさんの方にハマナスを知っていただけたら──そんな願いを込めてお届けします。 大切な人への贈り物にも、自分への小さなご褒美にも。ぜひ「花を食べるワクワク」を味わっていただければ嬉しいです。

ハマナスの香りと味わいを楽しむ一日

ハマナスの香りと味わいを楽しむ一日

今回、ロサルゴサとして初めての試みとなる蒸留教室を、神戸 L’epice(レピス)さんにて開催いたしました。アロマやバラにご興味のある方々にお集まりいただき、和やかで有意義なひとときとなりました。 ハマナスの花びらを使った蒸留では、一滴一滴ローズウォーターが流れ出すたびに会場全体にふわっと広がる香りに、「いい香り!」とたくさんのお声をいただきました。初めて蒸留をご覧になった方も、知識はあっても実際の体験は初めてという方も、植物から生まれる香りの瞬間を楽しんでいただけたのではないでしょうか。 そして「日本のバラ」と呼ばれるハマナスを、実際にご覧いただくのも初めての方が多く、この機会に知っていただけたことをとても嬉しく思います。 蒸留を通じて「香り」としてのハマナスを体感した後は、L’epice(レピス)大久保たえさんにご用意いただいた、ハマナスをテーマにした特別なランチプレートをお楽しみいただきました。 🍴ランチプレートの内容🌹 バラのローストポーク香ばしいお肉にカシューナッツのコクとハマナスの酸味。甘酸っぱいジャムでさらに深い味わいに。 さつまいもライスホクホクの甘さとふんわりごはんに、ローズソルトのやさしい塩味が広がります。 北海道産じゃがいものガレット外はカリッ、中はほくほく。ピンク色のローズソルトが彩りを添えます。 フェンネルとビーツとりんごのサラダビーツの甘みとりんごのフレッシュ感、フェンネルの爽やかさで口の中がリフレッシュ。 グリーンローズサラダ新鮮なグリーンに、ほんのりハマナス香るローズソルトを散らして軽やかに。 なすとハマナスのポタージュとろりとなめらかななすにハマナスの酸味をアクセント。後口はすっきり。 デザート:ローズのパンナコッタなめらかにとろける口どけ。いちじくコンポートとハマナスジャムで贅沢な余韻。 花の香り、彩り、食感。「香るハマナス」と「食べるハマナス」、両方を楽しんでいただける一日となりました。 初めての挑戦を温かく見守り、ご参加くださった皆さま、そして心を込めてお料理を手掛けてくださった大久保たえさんに、心より感謝申し上げます。 ロサルゴサでは今後も、神戸や北海道をはじめ、さまざまな場所でハマナスの魅力を五感で楽しんでいただける体験を企画してまいります。次回もぜひ、ご一緒できますように。

ハマナスが教えてくれること

ハマナスが教えてくれること

北海道・浦幌の畑でハマナスを育て始めてから、毎年欠かさず季節ごとの姿を見つめてきました。春のまだ冷たい風の中で芽吹く緑、夏の光を浴びて咲き誇る花、秋にかけての静かな実り。その一つひとつが僕にとっての大切な景色であり、暮らしそのものです。 毎年6月-7月になると、畑一面が鮮やかなピンクに染まり、甘く爽やかな香りが広がります。その光景は、いくら見慣れていても飽きることのない喜びで、「今年もまたこの季節が来た」と胸が高鳴ります。 けれども、2025年の畑は、いつもと違いました。気温の上昇が続き、さらにマイマイガの被害も重なって、花の数は例年に比べてぐっと少なかったのです。畑に立ち尽くし、あの広がりが見られない現実に、正直なところ落胆の気持ちもありました。秋の返り咲きも期待していましたが、今年はそれも望めないまま季節が移ろおうとしています。 自然を相手にしていると、どうしても「思い通りにはならない」という瞬間に出会います。丹精を込めても、天候や虫の影響を完全に避けることはできません。けれども、その厳しさを受けとめることもまた、この仕事の一部であり、自然とともに生きるということなのだと思います。 花が少なかった分、一輪一輪と向き合う時間が増えました。咲いた花を見つめると、その香りは例年よりも濃く、強く、深く心に残りました。数ではなく質に宿る恵み。自然はときに、「今年は数ではなく、一つひとつを大切に感じなさい」と語りかけてくれているようにも思えます。 日本には、四季の移ろいをそのまま受け入れ、その年その年の表情を愛でる文化があります。桜が一瞬で散る姿に儚さと美しさを重ねるように、ハマナスが少なかった一年もまた、その時にしか出会えない物語として心に刻んでおきたい。「順調に咲いた年」も「思うように咲かなかった年」も、すべてが自然から授かった大切な贈り物なのだと感じています。 この経験もまた、rosarugosa の物語の一部です。僕たちはただ花を育てているのではなく、自然と向き合い、その声を聞き、その恵みを暮らしへとつなぐ役割を担っています。そして、その年ごとの学びや気づきを香りや製品に込めて、皆さまへお届けしていくことこそが、僕たちの使命だと思っています。 自然は毎年同じ景色を見せてくれるわけではありません。けれども、そのゆらぎや移ろいがあるからこそ、驚きや感動、そして生きる力を与えてくれます。僕はこれからも、北海道・浦幌の畑でハマナスとともに歩み、自然の声に耳を澄ませながら、その瞬間にしか生まれない恵みを誠実に、丁寧にお届けしていきます。 どうか、この想いも含めてrosarugosaの製品を感じていただけたら嬉しく思います。森 健太

日本のバラ・ハマナスの香りに包まれる時間

日本のバラ・ハマナスの香りに包まれる時間

北海道・浦幌町で育まれる日本原種のバラ “ハマナス”。 その花は、ヨーロッパの華やかなバラとはまた違った魅力を持っています。 ヨーロッパのバラの香りが甘く重厚でドレスをまとった貴婦人のようだとしたら、ハマナスの香りはもっと軽やかで、みずみずしく、果実を思わせる清々しさがあります。 素肌の美しさをそのまま引き立ててくれるような、自然体の香り。 そんなハマナスに惹かれ、僕はこの花を暮らしに活かす取り組みを続けています。 このたび、ご縁あって神戸・北野坂の「アトリエ レピス」さんで蒸留のワークショップを開催させていただくことになりました。 料理家であり「レピス」を主宰されている 大久保たえさん。 ハマナスを使った特別なミニランチもご用意いただけることになり、香りと味わいをあわせて楽しんでいただける時間になるはずです。 神戸という街は、古くから港を通じて西洋文化を受け入れてきました。 異人館の並ぶ北野の丘には、異国の香りや暮らしが息づき、花やハーブも西洋からもたらされ、人々の生活に新しい彩りを加えてきました。 その歴史ある街で、日本のバラ・ハマナスを蒸留し、香りを分かち合うことには特別な意味を感じます。 ヨーロッパと日本、ふたつの文化が交わる神戸の地で、控えめでありながらも芯の強いハマナスの香りを楽しんでいただけたら嬉しいです。 当日は、ハマナスの蒸留水をその場でつくり、皆さん自身の手で “アロマミスト” を調合していただきます。 植物の香りに包まれながら、浦幌の自然のこと、ハマナスのことをゆっくりとお話しできればと思っています。 rosarugosa からは、小さなバーソープもお土産としてご用意しました。 香りをまとい、手にとり、そして味わいながら──ハマナスがもたらす癒しを五感で感じていただければ幸いです。 どうぞ気軽にご参加ください。 詳細、ご予約につきましてはこちら 株式会社ciokay代表 森 健太

心に咲く一滴

心に咲く一滴

銅の釜に手を添え、蓋をそっと閉じる。 まるで、花の声に静かに耳を澄ませるような時間が、ここから始まる。 朝摘みのハマナスは、しっとりとした重みとともに目を覚ましたばかりの香りを抱いている。一枚一枚、手で集めたその花びらを、静かに、ゆっくりと釜へと入れていく。 用いるのは「水蒸気蒸留」という、昔ながらの技法。蒸気の力で、花が本来もつ香りをやさしく引き出す。繊細な温度調整、そして気長に待つ覚悟がいる。焦らず、急がず、花の本質だけを一滴に映しとるための時間。 冷却を終えると、銅管の先からぽとり、ぽとりと雫が落ちはじめる。それは、ただのローズウォーターではない。北の大地の風、空、土、光——すべてがそこに、確かに息づいている。 肌に触れた瞬間、どこか懐かしい気持ちや、理由のない安らぎを感じるなら、それは、花の記憶が静かに語りかけているからだ。 ロサ・ルゴサという名のすべては、この一滴から始まった。

風の冷たさと、芽吹のぬくもりと

風の冷たさと、芽吹のぬくもりと

文|森 健太(ロサルゴサ代表) 春の訪れを感じ始めたある日、 まだ冬の名残をとどめた風の中で、 小さな新芽が静かに顔を出していました。 ロサルゴサの畑では、剪定や草刈りといった 一見、地味で根気のいる作業が続きます。 枝を切るたびに、 棘が指先にチクチクと刺さり、 何度も手を止めたくなるような、 そんな痛みもあります。 それでも、その先に咲く やわらかで力強いハマナスの花を思い描くと、 不思議と、心の中にぬくもりが灯るのです。 華やかさの裏にある、 静かな営み。 ロサルゴサの畑は、 機械に任せることなく、 すべて私自身の手で整えています。 枝ぶりを見て、風の流れを感じながら、 “今、この一枝に何が必要か”を見極める。 そうして芽吹いた小さな命が、 やがて花となり、香りとなり、 私たちの製品として、 誰かの肌と心を優しく包んでいきます。 風の冷たさと、芽吹きのぬくもり。 そのどちらも受け入れながら、 今日もまた、ロサルゴサの畑に立っています。

@rosarugosa_ciokay